DIY(Do It Yourself)は「自分でやる」との意味で他人任せにしないことです。これまでわが国では新築やリフォームを業者(専門家)任せにすることが一般的でしたが、DIY型リフォームは住まい手がもっと積極的に関わってゆきましょうというもので、専門業者任せにせずに自らの手で自らの生活空間をより快適するため工事に参加することです。
「DIY女子」ということばが生まれているように「自らの手で自らの生活空間をより快適にする」というニーズが高まり、技能や作業よりアートやデザインを楽しむいわゆる「アーツ&クラフツ」がDIY型リフォームの真髄かもしれません。家をまるごとDIY型リフォームすることも可能ですが、すべてをDIYで出来るものでもありません。住宅機器の給排水の接続や電気工事については専門業者の協力も必要です。DIY型リフォームの特長は、工賃が安くなる、その分を材料代に回し、ライフサイクルの長いエコ材料でより居住性の良いプレミアムリフォームが出来ることでしょう。借家のリフォームの場合には、貸主が修繕を行わず現状有姿のまま賃貸し(賃料を相場より安く設定)、借主が自費で修繕やDIYを行う借主負担型の賃貸借契約をDIY型賃貸借と呼んでいますが、国土交通省ではこのDIY型賃貸借を「借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件」と定義しています。2017年6月21日付掲載(中国新聞社の許諾を得ています)
今、高感度生活者の中で、「自分の理想とするライフスタイルを住まいで表現したい」という欲求が膨らんでいます。また、時代背景として、①新設住宅中心からリフォームや既存住宅の流通の拡大傾向という住宅市場の変化②住宅の材料や機器、施工道具・方法の進化により、素人でも割合簡単に施工ができるようになった③ITやホームセンターの普及で材料や道具の入手が容易になった④健康志向による自然素材や無垢木材へのウォンツの高まり⑤既製品に囲まれた暮らしから自らの感性を表現したいニーズの高揚⑥住環境をDIYで自分好みにしたい「イケア効果」(手間をかけることで愛着が強まること)の新しい価値観の出現⑦大工や左官など建築職人が不足し賃金が高騰している等があり、これらを複合要因としてDIY型リフォームの波が起こりつつあります。
① リーズナブルに快適な空間を造ることが可能
② 自然材料の使用で人と地球に優しい住まいが実現する
③ アーツ&クラフツの住まいづくりが楽しめる
④ 住まいに愛着が湧き自分流のメンテナンスができるようになる
⑤ 造る者同士がつながりを持てる
DIY型リフォームはアイデアとデザイン次第で無限の可能性を引き出せます。既存住宅の内装仕上げ材の多くは、壁・天井はビニル壁紙、床はボリウレタン樹脂で固められた複合フローリングが一般的です。そうした住まいを無垢のフローリングを張り、自然塗料で仕上げ、壁を塗壁にするなど自然素材を使ったDIY型リフォームを行うことで、健康的で快適なオンリーワンの住まいに変身させることが出来ます。