DIY型賃貸借とは

個人住宅を良好な状態で賃貸するためには、貸主(家主)が必要となる改修や管理・修繕等を行うことが一般的です。しかしながら、貸主には改修費用を独自に負担することは難しいが現状のままであれば貸してもいいというニーズがある一方で、借主(入居者)には自分の好みの改修を行いたいというニーズも見られます。 こうした現状を踏まえ、国土交通省では、工事費用の負担者が誰かに関わらず、借主の意向を反映して住宅の改修を行うことができる賃貸借契約やその物件をDIY型賃貸借として定義し、その普及に努めています。 そして、工事の形態別では、「借主自らが改修する」「専門業者に発注する」「両方が携わる」の3パターンがあります。 また工事費用については、借主や貸主が負担するだけでなく、改修規模や内容によっては、転貸人(サブリース業者など)等が負担する場合もあります。
DIY型賃貸借のメリット
契約手続きと賃料の流れ
ここではDIY型賃貸借で予定される5つのステップごとに、貸主と借主がすべきことを、小規模なDIY工事を例に紹介します。
DIY型賃貸借の手順
ここではDIY型賃貸借で予定される5つのステップごとに、貸主と借主がすべきことを、小規模なDIY工事を例に紹介します。
取決め事項の例
費用負担者 工事実施者 所有権の帰属 現状回復義務 明渡し時の精算
借主 借主 借主 ※明渡し後の所有権は貸主 なし なし
DIY 型賃貸借に関する契約書式例の考え方
借主が改修を行うDIY型賃貸借の場合、貸主の所有物に手を加えることになるので、増改築等に関しては、貸主の書面による承諾が必要です。 そのため、借主から貸主に工事内容の申請を行い、貸主の承諾を得るための「申請書兼承諾書」、双方の権利義務を含む合意事項を明確にする「合意書」を作成することが必要です。 また、賃貸借契約書には特約事項として、契約書と申請書兼承諾書及び合意書の関係を記載することが必要です。
DIY型賃貸借契約の取決め事項のポイント
DIY型賃貸借として貸し出すにあたっては、以下のような事項について予め決めておくことが、トラブルを回避するうえで必要と考えられます。 なお、大規模な改修を伴う際の留意点やサブリース物件におけるチェックポイントについては国土交通省などのホームページでご確認ください。
DIY型賃貸借のQ&A
STEP1 【準備】
DIY賃貸借はどんな方に借りてもらえるの?
“賃貸住宅でも自分好みに改修して住みたい” “古くなった設備や内装を自分でリフォームして住みたい”といった借主にニーズがあります
DIY型賃貸借として貸し出すためには何を準備すればいいの?
通常の賃貸借で必要となる準備に加え、借主がDIY工事を行うことが出来るように、下記の準備を行います。特に、築年数の経過した住宅では、住宅の状態によって工事の内容などに影響するため、耐震性や劣化状況を確認したうえで貸し出しましょう。
自分だけでDIY型賃貸借の準備をするのが難しい場合はどうすればいいの?
運営方法の提案から、契約の仲介、DIY工事の支援、物件の管理など、それぞれをサポートする専門事業者や、包括的にサポートを行っている事業者がいます。
どういった部分までDIY工事をさせていいの?
棚の設置といった小規模な工事から、間取りの変更や耐震補強といった大規模な工事まで様々なケースがあります。
STEP2【物件募集・事前協議】
DIY型賃貸借の家賃はどのように決定するの?
物件の貸し出し方や、DIY工事にあたり借主が負担する工事費などを考慮して賃料を設定されています。
DIY型賃貸借の物件はどのように募集すればいいの?
DIY型賃貸借のみを扱っている、またはDIY型賃貸借の物件を検索できる募集サイトがあります。また、募集に加え、契約の仲介、DIY工事の支援などを包括的にサポートする事業者もいます。
契約を結ぶ前に、借主と何を決めればいいの?
下記の項目を事前の協議で確認してください。工事内容によっては、管理・工事事業者も含めた協議により、詳細に決めておくことが望ましいものもあります。 ● 施工方法・使用機材等 ● 所有権の帰属 ● 明渡し時の収去 ● 残置する場合の補修 ● 原状回復義務 ● 明渡し時の精算等
STEP3【契約】
DIY型賃貸借として物件を貸し出す際は、どのように契約すればいいの?
借主がDIY工事を行う内容について、トラブルが生じないよう、賃貸借契約書の中で、Q7の内容について、詳細に取り決めてください
契約内容を確認してもらう方がいい相手はいるの?
連帯保証人にもDIY工事の契約内容を共有することが望ましいです。また、サブリースの場合には、貸主(転貸人)、借主(転借人)、建物の所有者の三者合意としましょう。
STEP4【DIY工事】
DIY工事は誰が実施するの?
借主自身が工事を実施することが一般的ですが、大規模な工事の場合には、借主が 工事事業者に発注して工事を実施することもあります。
DIY工事を実施するときの資金面のサポートはあるの?
原則として借主の負担で工事を行うため、貸主の資金は不要ですが、工事を実施する借主にリフォームローン等を紹介することも考えられます。また、サブリース業者の負担で工事を行うケースもあります。
DIY工事の際に、立ち会い確認をする必要はあるの?
立ち合い確認を行って、工事内容が事前の申請と一致しているか確認することが望ましいです。
借主が工事をして取り付けた部分は、誰の所有物になるの?
所有権の帰属や明渡し時の精算など事前に協議し、合意書で明確にしましょう。増改築等の実施前に、貸主と借主のどちらが所有するかを協議により決めてください。基本的には、住宅と一体となり、分離することができない工事部分(耐震改修、設備の変更、塗り壁等)は、貸主の所有となります。
STEP5【入居中の管理・DIY工事】
DIY型賃貸借の物件の管理はどうすればいいの?
管理業者への委託が多いですが、建物の所有者による自主管理や、サブリース業者に一括して貸し出すケースもあります
DIY工事をした部分は誰が修繕を行うの?
原則として借主が管理を行いますが、貸主と借主のどちらが管理を行うかを事前協議により決めることも可能です。
借主が新たにDIY工事をしたいという場合はどうすればいいの?
当初の契約とは異なる DIY工事を行う場合には、契約時と同様の申請が必要です。
STEP6【明渡し】
契約終了時に工事費用の精算を求められた場合はどうすればいいの?
費用精算の有無について、事前協議で決めることが重要です。
明渡し時にDIY工事をした部分が使用できなくなっている場合はどうすればいいの?
工事部分を残す場合の補修の要・不要について、事前協議で決めることが重要です。
退去する際に、原状回復の有無を変更したい場合はどうすればいいの?
契約内容が適用されるため、工事の立ち合いなどを通じて事前に確認しておくことが重要です。また、契約内容を変更したい場合は、一方が不利にならないように協議することが必要です。
※本ページは国土交通省発表の資料を基に制作しました 参考資料 国土交通省ホームページ 民間賃貸住宅 DIY型賃貸借に関する契約書式例とガイドブックの作成について http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000046.html 『賃貸住宅標準契約書』について http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000023.html 『サブリース住宅原賃貸借標準契約書』について http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000018.html 『原状回復をめぐるトラブルとガイドライン』について http://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/jutakukentiku_house_tk3_000020.html